弱い相互作用と強い相互作用のMaxwell方程式みたいな何か

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電磁相互作用における Maxwell 方程式みたいなものを, 弱い相互作用・強い相互作用でも考えてみたい.

練習: 可換ゲージ場

まずは電磁相互作用でどのように Maxwell 方程式が現れるかを観察しよう. 物理学専攻の学生がテンソルを学ぶと, よく「Maxwell 方程式は1つ(ないし2つ)の式にまとめることができる」みたいな話題になるが, 要するにあれの逆を考える.

簡単のために, 物質場はスカラー場とする. よく知られているように, 自由スカラー場の作用は

S[ϕ]=d4x(12μϕμϕ12m2ϕ2)S[\phi] = ∫\d{{}^4 x} \pqty{\frac12 ∂_μ \phi^* ∂^μ \phi - \frac12 m^2 |\phi|^2}

である. ただし, この作用に対し, U(1)U(1) ゲージ変換に対する不変性を要請する. つまり, 変換

ϕ(x)g(x)ϕ(x),g(x)U(1){eiθθR}\phi(x) \mapsto g(x) \phi(x), \quad g(x) \in U(1) ≡ \{e^{iθ} \mid θ \in \mathbb{R}\}

に対して作用が不変であるとする. そのためには, 作用の微分演算子 μ∂_μ を共変微分

Dμ=μieAμD_μ = ∂_μ - ieA_μ

に置き換える必要がある. ただし, Aμ(x)u(1)A_μ(x) \in \mathfrak{u}(1) は接続で, ゲージ変換に対し

AμAμ+iegμg1,A_μ \mapsto A_μ + \frac{i}{e} g ∂_μ g^{-1},

と変換し1, これに伴って場の共変微分はゲージ変換で

DμϕgDμϕD_μ \phi \mapsto g D_μ \phi

と変換することが容易に確かめられる. したがって, 新しい作用

S[ϕ]=d4x(12DμϕDμϕ12m2ϕ2)S[\phi] = ∫\d{{}^4 x} \pqty{\frac12 D_μ \phi^* D^μ \phi - \frac12 m^2 |\phi|^2}

はゲージ変換で不変である.

さて, 接続 AμA_μ を物理変数, ゲージ場として扱うことにする. ゲージ場の運動項は, 曲率

Fμν=μAννAμF_{μν} = ∂_μ A_ν - ∂_ν A_μ

を用いて

Sゲージ場[A]=d4x(14FμνFμν)S_\mathsf{ゲージ場}[A] = ∫\d{{}^4 x} \pqty{- \frac14 F_{μν} F^{μν}}

と書ける. TODO: ゲージ場の運動項の導出 結局, 作用全体は

S[ϕ,A]=d4x(12DμϕDμϕ12m2ϕ214FμνFμν)S[\phi, A] = ∫\d{{}^4 x} \pqty{\frac12 D_μ \phi^* D^μ \phi - \frac12 m^2 |\phi|^2 - \frac14 F_{μν} F^{μν}}

となる.

作用の変分を計算すると,

δS[ϕ,A]=δS[\phi, A] =

となる.

Footnotes

  1. ゲージ変換を g(x)=eiθ(x)g(x) = e^{iθ(x)} と書けば

    Aμ(x)Aμ(x)+1eμθ(x)A_μ(x) \mapsto A_μ(x) + \frac1{e} ∂_μ θ(x)

    と変換する.