定義域が関数族であるような関数を物理では汎関数 functional と呼ぶ. 例えば, F:{A→B}→C など. このとき, φ:A→B に対して F[φ(x)]∈C と書くことが多い. ただし表記中 x∈A は「ダミー」であって, 汎関数の定義中で用いられる変数を明示しているだけに過ぎない. 単に F[φ] と書かれることもある. この文章中では, ダミー変数を添字にした Fx[φ], Fx∈A[φ] も用いる1. F[φ(x)] が汎関数であるとき, 通常の関数 g:C→D を合成した g(F[φ(x)]) もまた汎関数である.
物理では, 汎関数といえば専ら積分である. この文章では頻出する汎関数の基本的な計算方法についてまとめる. 数学的な厳密性は一切考慮していない. 高校微積分程度の習得を目指している2. また, 勝手な解釈も多く含んでいるので, 気持ち程度に読んでほしい.
汎関数の考え方
例として関数 φ:[a,b]→R の汎関数 F[φ(x)] を考える. I の分割 a=x0<⋯<xN=b に対し, 関数値を φn:=φ(xn) として, 汎関数 F[φ(x)] はある関数 fN(φ0,…,φN) の分割数 N を極限まで増やしたものと見做すことができる. たとえば積分 F[φ(x)]=∫abdxφ(x) では, 分割幅を Δxn:=xn−xn−1 として, Riemann 積分の考え方を用いれば3,
fN(φ0,…,φN)=n=1∑NΔxn×φ(xn)N→∞F[φ(x)]=∫abdxφ(x).
または, 等間隔な分割 xn:=a+Nn(b−a), 分割幅 Δx:=Nb−a に対し, 例えば φ(x):=x2 とすると,
fN(x02,…,xN2)=n=1∑NΔx×xn2N→∞F[x2]=∫abdxx2.
このような汎関数の離散的な表現を考えることも重要である. 特に, 汎関数積分の計算においては離散表現が必須である.
汎関数の例
以下は汎関数である:
-
積分
iN(φ0,…,φN)=n=1∑NΔx×g(φn)N→∞I[φ(x)]=∫dxg(φ(x)).
-
代入
s(φ0,…,φN;xm=x′)=n=1∑NΔx×φnΔxδnm=φmN→∞S[φ(x)](x′)=∫dxφ(x)δ(x−x′)=φ(x′).
汎関数中のデルタ関数 δ(x−x′) は, 離散表現の Δxδnm に対応している.
-
Fourier 変換
fN(φ0,…,φN;km)=n=1∑N2πΔx×φne−ikmxnN→∞F[φ(x)](k)=∫2πdxφ(x)e−ikx.
-
Fourier 逆変換
fN“−1”(φ˜0,…,φ˜N;xn)=m=1∑N2πΔk×φ˜meikmxnN→∞F−1[φ˜(k)](x)=∫2πdkφ˜(k)eikx;
実際, F−1[F[φ(x˜)](k)](x)=φ(x).
-
汎関数のダミー変数を関数にしたもの
gN(x0,…,xN)=fN(φ0,…,φN)N→∞Gt[x]:=Fx(t)[φ].
ただし, xn=x(tn). 例えば Fx[φ]:=∫dxφ(x) に対して,
gN(x0,…,xN)=fN(φ0,…,φN)=n=1∑NΔx×φn=n=1∑NΔt×ΔtΔxφ(xn)N→∞Gt[x]=Fx(t)[φ]=∫dx(t)φ(x(t))=∫dtdtdxφ(x(t)).
汎関数微分
汎関数 F[φ(x)] の点 y における汎関数微分 functional derivative は, 以下で定義される:
δφ(y)δF[φ(x)]:=h→0limhF[φ(x)+hδ(x−y)]−F[φ(x)].
物理では汎関数微分を変分とも呼び, 単に δφδF[φ] とも略記される.
汎関数微分の離散的な表現は, y=xm として, 定義から
== h→0limhfN(φ1+hΔxδ1m,…,φN+hΔxδNm)−fN(φ1,…,φN) Δx1h→0limh/ΔxfN(φ1,…,φm+h/Δx,…,φN)−fN(φ1,…,φN) Δx1∂φm∂fN.
したがって, 汎関数微分演算子 δφ(y)δ に対応する離散表現は Δx1∂φm∂ である.
汎関数微分は線形性
δφ(y)δ{aF[φ(x)]+bG[φ(x)]}=aδφ(y)δF[φ(x)]+bδφ(y)δG[φ(x)]
や Leibniz 則
δφ(y)δ{F[φ(x)]G[φ(x)]}=δφ(y)δF[φ(x)]G[φ(x)]+F[φ(x)]δφ(y)δG[φ(x)]
を満たす.
汎関数微分の計算例
以下の汎関数 F[φ(x)] について汎関数微分 δφ(y)δF[φ(x)] を計算する:
-
F[φ(x)]=∫dxg(x)φ(x):
=== δφ(y)δ∫dxg(x)φ(x) h→0limh1[∫dxg(x)(φ(x)+hδ(x−y))−∫dxg(x)φ(x)] h→0limh1∫dxg(x)hδ(x−y) ∫dxg(x)δ(x−y)=g(y).
離散表現では, y=xm として,
Δx1∂φm∂n=1∑NΔx×g(xn)φn=g(xm).
-
F[φ(x)]=φ(x′):
δφ(y)δφ(x′)=δφ(y)δ∫dzφ(z)δ(x′−z)=δ(x′−y).
離散表現では, y=xm, x′=xk として,
Δx1∂φm∂n=1∑NΔx×φnΔxδnk=Δxδmk.
-
F[φ(x)]=∫dxg(φ(x)):
==== δφ(y)δ∫dxg(φ(x)) h→0limh1[∫dxg(φ(x)+hδ(x−y))−∫dxg(φ(x))] h→0limh1{∫dx[hdφ(x)dg(φ(x))δ(x−y)+O(h2)]} h→0limh1[hdφ(y)dg(φ(y))+O(h2)] dφ(y)dg(φ(y)).
離散表現では, y=xm として,
Δx1∂φm∂n=1∑NΔx×g(φn)=dφmdg(φm).
-
F[φ(x)]=∫dxg(φ′(x)):
======= δφ(y)δ∫dxg(φ′(x)) h→0limh1[∫dxg(dxd{φ(x)+hδ(x−y)})−∫dxg(dxdφ(x))] h→0limh1[∫dxg(dxdφ(x)+hdxdδ(x−y))−∫dxg(dxdφ(x))] h→0limh1{∫dx[hd(dφ(x)/dx)dg(dφ(x)/dx)dxdδ(x−y)+O(h2)]} h→0limh1{∫dx[−hdxdd(dφ(x)/dx)dg(dφ(x)/dx)δ(x−y)+hdtd(d(dφ(x)/dx)dg(dφ(x)/dx)δ(x−y))+O(h2)]} (∵部分積分) h→0limh1[−hdydd(dφ(y)/dy)dg(dφ(y)/dy)+h∫d(d(dφ(x)/dx)dg(dφ(x)/dx)δ(x−y))+O(h2)] −dydd(dφ(y)/dy)dg(dφ(y)/dy)+∫d(d(dφ(x)/dx)dg(dφ(x)/dx)δ(x−y)) −dyddφ′(y)dg(φ′(y))+∫d(dφ′(x)dg(φ′(x))δ(x−y)).
特に y が積分範囲の内部にあるとき, 発散項を消すことができて,
δφ(y)δ∫dxg(φ′(x))=−dyddφ′(y)dg(φ′(y)).
離散表現では, y=xm として,
Δx1∂φm∂n=1∑NΔx×g(Δxφn−φn−1)=−Δxg′(Δxφm+1−φm)−g′(Δxφm−φm−1).
-
F[φ(x)]=∫dxg(φ(x),φ′(x)):
上の例を繰り返し使うことで,
δφ(y)δ∫dxg(φ(x),φ′(x))=∂φ(y)∂g−dyd∂φ′(y)∂g+∫d(∂φ′(x)∂gδ(x−y)),
あるいは, y が積分範囲の内部にあるとき,
δφ(y)δ∫dxg(φ(x),φ′(x))=∂φ(y)∂g−dyd∂φ′(y)∂g.
汎関数冪級数
連続な汎関数は Tayler 級数に相当する以下の冪級数に展開することができる. これを Volterra 級数 Volterra series という: 微小な関数 η(x) を用いて,
F[φ(x)+η(x)]=F[φ(x)]+∫dyδφ(y)δF[φ(x)]η(y)+21∫dy1∫dy2δφ(y1)δφ(y2)δ2F[φ(x)]η(y1)η(y2)+⋯=n=0∑∞n!1∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yn).
特に, φ=0 まわりの冪展開は,
F[φ(x)]=F[0]+∫dyδφ(y)δF[φ(x)]φ=0φ(y)+21∫dy1∫dy2δφ(y1)δφ(y2)δ2F[φ(x)]φ=0φ(y1)φ(y2)+⋯=n=0∑∞n!1∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]φ=0φ(y1)⋯φ(yn).
汎関数冪級数の離散表現は,
== fN(φ0+η0,…,φN+ηN) fN(φ0,…,φN)+m=0∑NΔxΔx1∂φm∂fNηm+21m1=0∑NΔxm2=0∑NΔx(Δx)21∂φm1∂φm2∂2fNηm1ηm2+⋯ n=0∑∞n!1m1=0∑NΔx⋯mn=0∑NΔx(Δx)n1∂φm1⋯∂φmn∂nfN(φ0,…,φN)ηm1⋯ηmn.
この表現は関数 fN(φ0+η0,…,φN+ηN) の (φ0,…,φN) まわりでの Taylor 展開になっている.
n 階汎関数微分 δφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)] が y1,…,yn について対称であると仮定して, δφnδnF と略記する. また,
δφnδnF∗ηn:=∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yn)
とすると, Volterra 級数は以下のように書き直せる:
F[φ(x)+η(x)]=n=0∑∞n!1δφnδnF∗ηn.
冪級数を用いた計算例
-
δφnδnF∗ηn の η(y) による汎関数微分:
===== δη(y)δ(δφnδnF∗ηn) h→0limh1[∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)][η(y1)+hδ(y1−y)]⋯[η(yn)+hδ(yn−y)]−∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yn)] h→0limh1[i=0∑n∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yi)⋯η(yn)hδ(yi−y)+O(h2)] i=0∑n∫dy1⋯∫dynδφ(y1)⋯δφ(yn)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yi)⋯η(yn)δ(yi−y) n∫dy1⋯∫dyn−1δφ(y)δφ(y1)⋯δφ(yn−1)δnF[φ(x)]η(y1)⋯η(yn−1) nδφ(y)δ(δφn−1δn−1F)∗ηn−1(=:nδφnδnF∗ηn−1 とも書く).
-
g(F[φ(x)]) の汎関数微分:
===== δφ(y)δg(F[φ(x)]) h→0limh1[g(F[φ(x)+hδ(x−y)])−g(F[φ(x)])] h→0limh1[g(F[φ(x)]+∫dzδφ(z)δF[φ(x)]hδ(z−y)+O(h2))−g(F[φ(x)])] h→0limh1[g(F[φ(x)]+hδφ(y)δF[φ(x)]+O(h2))−g(F[φ(x)])] h→0limh1[hdF[φ(x)]dg(F[φ(x)])δφ(y)δF[φ(x)]+O(h2)] dF[φ(x)]dg(F[φ(x)])δφ(y)δF[φ(x)].
-
x の積分で定義される汎関数 F[φ(x,t)] に対し, 微分 dtdF[φ(x,t)]:
==== dtdF[φ(x,t)] h→0limhF[φ(x,t+h)]−F[φ(x,t)] h→0limh1{F[φ(x,t)+h∂t∂φ(x,t)+O(h2)]−F[φ(x,t)]} h→0limh1{F[φ(x,t)]+h∫dyδφ(y)δF[φ(x)]∂t∂φ(y,t)+O(h2)−F[φ(x,t)]} ∫dyδφ(y,t)δF[φ(x,t)]∂t∂φ(y,t).
-
微小変換 x(t)↦x′(t)=x(t)+δx(t) に対し φ(x(t))↦φ′(x′(t))=φ(x(t))+δφ(x(t)) と変換されるとき, 汎関数 Fx′(t)[φ′] を 1 次まで展開することを考える. 汎関数 Fx(t)[φ′] をパラメータ x(t) に関する汎関数 Gt[x]:=Fx(t)[φ′] と見れば δx(t) の 1次で展開することができ,
==== Fx′(t)[φ′] Fx(t)+δx(t)[φ′] (=Gt[x+δx]=Gt[x]+∫dx0δx(t0)δGt[x]δx(t0)) Fx(t)[φ′]+∫dt0δx(t0)δFx(t)[φ′]δx(t0) Fx(t)[φ+δLφ]+∫dt0δx(t0)δFx(t)[φ+δLφ]δx(t0) Fx(t)[φ+δLφ]+∫dt0δx(t0)δFx(t)[φ]δx(t0).
ただし, δLφ(x(t)) は Lie 微分である:
δLφ(x(t)):=φ′(x(t))−φ(x(t))=δφ(x(t))−dx(t)dφ(x(t))δx(t).
次に Fx(t)[φ′] を 1 次で展開して,
=== Fx(t)[φ+δLφ] Fx(t)[φ]+∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]δLφ(x(t0)) Fx(t)[φ]+∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]δφ(x(t0))−∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]dx(t0)dφ(x(t0))δx(t0) Fx(t)[φ]+∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]δφ(x(t0))−∫dt0δφ(x(t0))δFx(t)[φ]dt0dφ(x(t0))δx(t0).
これを前の式に代入すれば, Fx′(t)[φ′] の 1 次の展開が得られる:
Fx′(t)[φ′]=Fx(t)[φ]+∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]δLφ(x(t0))+∫dt0δx(t0)δFx(t)[φ]δx(t0)=Fx(t)[φ]+∫dx(t0)δφ(x(t0))δFx(t)[φ]δφ(x(t0))+∫dt0[δx(t0)δFx(t)[φ]−δφ(x(t0))δFx(t)[φ]dt0dφ(x(t0))]δx(t0).
-
一般の汎関数微分:
(DF)[φ(x)][η(x)]:=dλdF[φ(x)+λη(x)]λ=0=h→0limhF[φ(x)+hη(x)]−F[φ(x)].
先に定義した汎関数微分は
δφ(y)δF[φ(x)]=(DF)[φ(x)][δ(x−y)]
と書ける. また, F[φ(x)+hη(x)] を冪展開すると
F[φ(x)+hη(x)]=F[φ(x)]+h∫dyδφ(y)δF[φ(x)]η(y)+O(h2)
だから, 定義式に代入すれば, 一般の汎関数微分の表示が得られる4:
(DF)[φ(x)][η(x)]=∫dxδφ(x)δF[φ(x)]η(x)=δφδF∗η.
また, この表示を汎関数冪級数に代入すれば, 一般の汎関数微分に関する冪級数展開が得られる:
F[φ(x)+η(x)]=n=0∑∞n!1(DnF)[φ(x)]n[η(x)]⋯[η(x)].
汎関数積分
x∈[a,b] の関数上で定義される F[φ(x)] の汎関数積分 functional integration は, 以下で定義される:
∫Dφ(x)F[φ(x)]:=θ1x∈[a,b]∏∫dφ(x)F[φ(x)]:=N→∞limθ(N)1∫dφ0⋯∫dφNfN(φ0,…,φN).ただし, θ は有限値に収束させるための正規化因子, fN(φ0,…,φN) は F[φ(x)] の離散表現である. 単に ∫DφF[φ] とも略記される.
φ(x) の端を固定した汎関数積分も重要である:
∫φ0φDφ(x)F[φ(x)]:=θ1x∈(a,b)∏∫dφ(x)F[φ(x)]φ(a)=φ0φ(b)=φ:=N→∞limθ(N)1∫dφ1⋯∫dφN−1fN(φ0,φ1,…,φN−1,φ).
これは, 端点を固定した経路の経路上各点について積分した積になっていることから, 経路積分とも呼ばれる. 経路積分の表記法については別記事を参照.
汎関数積分の計算例
-
自由粒子型:
I(φ)=∫φ0φDφ(x)exp[i∫abdx2A{φ′(x)}2],
ただし ∫dφI(φ)=1 として正規化する. F[φ(x)]=exp[i∫abdx2A{φ′(x)}2] の離散表現は,
fN(φ0,φ1,…,φN−1,φ)=exp[in=1∑NΔx×2A(Δxφn−φn−1)2]φ0=φ0φN=φ.
ただし, 分割幅を Δx:=(b−a)/N とした. したがって F[φ(x)] の汎関数積分は,
I(φ)=∫φ(a)=φ0φ(b)=φDφ(x)exp[i∫abdx2A{φ′(x)}2]=N→∞limθ(N)1∫dφ1⋯∫dφN−1exp[in=1∑NΔx×2A(Δxφn−φn−1)2]φ0=φ0φN=φ=N→∞limθ(N)1∫dφ1⋯∫dφN−1exp[2ΔxiAn=1∑N(φn−φn−1)2]φ0=φ0φN=φ=N→∞limθ(N)1∫dφ1⋯∫dφN−1exp{2ΔxiA[(φ−φN−1)2+k=1∑N−1(φN−k−φN−(k+1))2]}φ0=φ0.
ここで φN−k の積分について考えると,
====∫dφN−kexp{2ΔxiA[k1(φ−φN−k)2+(φN−k−φN−(k+1))2]}∫dφN−kexp{2ΔxiA[kk+1φN−k2−2(k1φ+φN−(k+1))φN−k+(k1φ2+φN−(k+1)2)]}∫dφN−kexp[2ΔxiAkk+1φN−k2−2ΔxiA2(k1φ+φN−(k+1))φN−k+2ΔxiA(k1φ2+φN−(k+1)2)](∫dxexp(−iax2+ibx)=iaπexp(4aib2))k+1kA2πiΔxexp[−2ΔxiAk+1k(φ+φN−(k+1))2+2ΔxiA(k1φ2+φN−(k+1)2)]k+1kA2πiΔxexp[2ΔxiAk+11(φ−φN−(k+1))2]
より, k=1,…,N−1 で順に積分することで,
I(φ)=N→∞limθ(N)12132⋯NN−1(A2πiΔx)N−1exp[2NΔxiA(φ−φ0)2]=N→∞limθ(N)1N1(A2πiΔx)(N−1)/2exp[2NΔxiA(φ−φ0)2].
ここで, 定数 C を用いて θ(N)=C1(A2πiΔx)N/2 とすれば,
I(φ)=N→∞limC(2πiΔxA)N/2N1(A2πiΔx)(N−1)/2exp[2NΔxiA(φ−φ0)2]=N→∞limC2πiNΔxaexp[2NΔxiA(φ−φ0)2]=C2πi(b−a)Aexp[i2Ab−a(φ−φ0)2].
正規化条件より定数 C を決定すると,
1=∫dφI(φ)=C∫dφ2πi(b−a)Aexp[i2Ab−a(φ−φ0)2]=C.
したがって,
I(φ)=∫φ(a)=φ0φ(b)=φDφ(x)exp[i∫abdx2A{φ′(x)}2]=2πi(b−a)Aexp[i2Ab−a(φ−φ0)2].
-
汎関数積分の連結:
x3>x2>x1 に対し, x∈[x3,x1] の関数上で定義される汎関数 F[φ(x)] について,
∫φ1φ2Dφ(x)∫dφ2∫φ2φ3Dφ(x)F[φ(x)]=∫φ1φ3Dφ(x)F[φ(x)].
実際,
=== ∫φ1φ2Dφ(x)∫dφ2∫φ2φ3Dφ(x)g(φ2)F[φ(x)] θ1x∈(t1,t2)∏∫dφ(x)∫dφ(x2)x∈(t2,t3)∏∫dφ(x)F[φ(x)] θ1x∈(t1,t3)∏∫dφ(x)F[φ(x)](∵(t1,t2)∪{t2}∪(t2,t3)=(t1,t3)) ∫φ1φ3Dφ(x)F[φ(x)].
特に, 指数法則 Fx∈A[φ]Fx∈B[φ]=Fx∈A∪B[φ] を満たす汎関数 (例えば Fx∈[a,b][φ]=exp[∫abdxφ(x)]) に対しては,
= ∫dφ2g(φ2)(∫φ1φ2Dφ(x)Fx∈[x1,x2][φ])(∫φ2φ3Dφ(x)Fx∈[x2,x3][φ]) ∫φ1φ3Dφ(x)Fx∈[x1,x3][φ]g(φ(x2)).
実際,
== ∫dφ2g(φ2)(∫φ1φ2Dφ(x)Fx∈[x1,x2][φ])(∫φ2φ3Dφ(x)Fx∈[x2,x3][φ]) ∫φ1φ2Dφ(x)∫dφ2∫φ2φ3Dφ′(x)g(φ2)Fx∈[x1,x2][φ]Fx∈[x2,x3][φ′] ∫φ1φ3Dφ(x)g(φ(x2))Fx∈[x1,x3][φ].
-
デルタ汎関数 Δ[φ(x)]:
汎関数積分で
Δ[φ(x)]:=∫Dξ(x)exp[i∫dxφ(x)ξ(x)]
と定義される. 離散表現は
δN({φn})≡θ(N)1(n∏∫dξn)exp[in∑Δx×φnξn]=θ(N)1n∏∫dξnexp(iΔx×φnξn)=θ(N)1n∏2πδ(φnΔx)=θ(N)1(Δx2π)Nn∏δ(φn)
となって, 正規化因子を θ(N)=(2π/Δx)N と置けば
δN({φn})=n∏δ(φn)
であるから, N→∞ の極限で, デルタ汎関数は
Δ[φ(x)]=x∏δ(φ(x))
と書ける. さて, 汎関数デルタ関数は,
∫Dφ(x)F[φ(x)]Δ[φ(x)−φ˜(x)]=F[φ˜(x)],∫Dφ(x)Δ[φ(x)]=1
の性質を満たす. 実際,
=== ∫Dφ(x)F[φ(x)]Δ[φ(x)−φ˜(x)] θ1(x∏∫dφ(x))F[φ(x)](x∏δ(φ(x)−φ˜(x))) θ1(x∏∫dφ(x)δ(φ(x)−φ˜(x)))F[φ(x)] F[φ˜(x)]
であって, 恒等的に F[φ(x)]=1, φ˜(x)=1 とすれば第二式が得られる.
汎関数 Fourier 変換
汎関数 F[φ(x)] に対する汎関数 Fourier 変換 F は
F{F[φ(x)]}[ξ(x)]:=∫Dφ(x)F[φ(x)]exp[−i∫dxφ(x)ξ(x)],また, F˜[ξ(x)] に対する逆変換 F−1 は
F−1{F˜[ξ(x)]}[φ(x)]:=∫Dξ(x)F˜[ξ(x)]exp[i∫dxφ(x)ξ(x)]で定義され,
F−1{F{F[φ˜(x)]}[ξ(x)]}[φ(x)]=F[φ(x)]を満たす.
離散表現で汎関数 Fourier 変換の表式を導出する. 汎関数の離散表現 fN({φn}) と f˜N({ξn}) に対し, gN({Δxφn})≡fN({φn}) と g˜N({Δxξn})≡f˜N({ξn}) を定義して, gN と g˜N の間の多変数 Fourier 変換を考えると,
g˜N({Δxξn})=(n∏∫2πΔxdφn)gN({Δxφn})exp[−in∑Δxφn×Δxξn]=(2πΔx)N/2(n∏∫dφn)gN({Δxφn})exp[−in∑Δx×φnξn]
となるから, 結局 fN と f˜N の関係は
f˜N({ξn})=(2πΔx)N/2(n∏∫dφn)fN({φn})exp[−in∑Δx×φnξn]
となって, N→∞ の極限で汎関数 Fourier 変換が得られる. 逆変換も同様.
汎関数デルタ関数 Δ[φ(x)] を用いれば, 容易に逆変換であることがわかる:
F−1{F{F[φ˜(x)]}[ξ(x)]}[φ(x)]=∫Dξ(x)F{F[φ˜(x)]}[ξ(x)]exp[i∫dxφ(x)ξ(x)]=∫Dφ˜(x)F[φ˜(x)]∫Dξ(x)exp{i∫dx[φ(x)−φ˜(x)]ξ(x)}=∫Dφ˜(x)F[φ˜(x)]Δ[φ(x)−φ˜(x)]=F[φ(x)].
汎関数 Fourier 変換の計算例
規格化定数は都合の良いように取る.
-
1 (恒等的に1である汎関数) の汎関数 Fourier 変換:
F{1}[ξ(x)]=∫Dφ(x)exp[−i∫dxφ(x)ξ(x)]=Δ[ξ(x)].
-
デルタ汎関数 Δ[φ(x)] の汎関数 Fourier 変換:
F{Δ[φ(x)]}[ξ(x)]=∫Dφ(x)Δ[φ(x)]exp[−i∫dxφ(x)ξ(x)]=exp[−i∫dx0×ξ(x)]=1
参考文献
- Stevens, C. F. The Six Core Theories of Modern Physics (United Kingdom, MIT Press, 1995)