k-代数 R に対し, Abel 群 M の加法 + と写像 λ:R×M→M が a,b∈R, m,m′∈M に対し以下の条件を満たすとき, 組 (M,+,λ) または単に M を R 上の左加群left module over R または左 R-加群left R-module, 単に R-加群R-module という.
Abel 群の加法に対するスカラー作用の分配律: λ(a,m+m′)=λ(a,m)+λ(a,m′),
環の加法に対するスカラー作用の分配則: λ(a+b,m)=λ(a,m)+λ(b,m),
環の乗法とスカラー作用の両立条件: λ(ab,m)=λ(a,λ(b,m)),
スカラー作用の単位元の存在: λ(1,m)=m.
R 上の右加群または右 R-加群も同様に定義される. Abel 群は Z-加群である. 実際, Abel 群 G の要素 g に対して
n⋅g:=ng+g+⋯+g,(−1)⋅g:=−g,0⋅g:=0
と定義すれば, 加法 + と写像 ⋅:Z×G→G について G は左 Z の定義を満たす.
部分加群と剰余類
R-加群 M の部分集合 N について, N がまた R-加群であるとき, N を M の部分 R-加群submodule という.
R-加群 M の部分加群 N に対し, 和に対する左剰余類の全体 M/N:={m+N∣m∈M} を考える. R-加群の元 m,m′∈M と x∈R に対して M/N 上の演算を