調和振動子まとめ
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ポテンシャルが
V(x)=21mω2x2
で与えられる1次元粒子を調和振動子という1. ここでは, 調和振動子および非調和項を含むポテンシャル
V(x)=21mω2x2+λx4
中の粒子の古典論とその量子化を考える.
古典論
調和振動子の Lagrangian は
L(x,x˙,t)=21mx˙2−21mω2x2
である. Euler-Lagrange 方程式
∂x∂L−dtd∂x˙∂L=0
に代入すれば
−mω2x−mx¨=0
が得られ, x に関する運動方程式
x¨=−ω2x
が得られる. 初期条件 x(0)=a, x˙(0)=0 として x の解を求めよう. 一般解は
x(t)=Acosωt+Bsinωt
であるが, 初期条件 a=x(0)=A, 0=x˙(0)=ωB より, A=a, B=0. したがって, x の解は
x(t)=acosωt
と求まる. この解を x0(t) と書くことにする. つまり,
{(}d2d[]t+ω2)x0(t)=0
を満たす.
非調和項を含むときの Lagrangian は
L(x,x˙,t)=21mx˙2−21mω2x2−λx4
である. Euler-Lagrangian 方程式に代入すれば,
−mω2x−4λx3−mx¨=0
が得られ, x に関する運動方程式
x¨=−ω2x−m4λx3
が得られる. 先程と同様, 初期条件 x(0)=a, x˙(0)=0 として x の解を求めるが, 今回の場合では厳密に解くことができない. そこで, x(t) を λ について展開することを考える. すなわち,
x(t)=x0(t)+λx1(t)+λ2x2(t)+⋯
とする. 運動方程式の右辺第一項を左辺へ移項すれば
{(}d2d[]t+ω2)x(t)=−m4λx3=m4λ∫0∞dt′[−δ(t−t′)]x3(t′)
であるから, 時間 t の関数 GR(t) (遅延 Green 関数と呼ばれる)を
{(}d2d[]t+ω2)GR(t)=−δ(t)
と定義すれば, 解はこの GR(t) を使って
x(t)=x0(t)+m4λ∫0∞dt′GR(t−t′)x3(t′)
と書ける. この式の右辺にこの式自身を繰り返し代入することで, 帰納的に λ による展開係数が求まる. すなわち,
x1(t)x2(t)=m4∫0∞dt′GR(t−t′)x03(t′),=m12∫0∞dt′GR(t−t′)x02(t′)x1(t′)=m248∫0∞dt′∫0∞dt′′GR(t−t′)x02(t′)GR(t′−t′′)x0(t′′)
と計算できる.
参考文献
- 柏 太郎 『演習くり込み群 確かな理解と修得を目指して』 (SDB Digital Books 10, サイエンス社, 2016)