一般相対論
平行移動
\(N\) 次元の平らな空間の基底を \(\bm{e}_n\), 計量を \(h_{nm} ≡ \bm{e}_n ⋅ \bm{e}_m\) とする. 任意のベクトルは \(\bm{A} = A^n \bm{e}_n\) と書ける. 微小ベクトル \(\d{\bm{z}} = \d{z^n} \bm{e}_n\) の長さ \(\d{s} ≡ |\d{\bm{z}}|\) は,
\[\d{s} = (\d{z^n} \bm{e}_n) ⋅ (\d{z^m} \bm{e}_m) = h_{nm} \d{z^n} \d{z^m}.\]また, \(\d{z_n} ≡ h_{nm} \d{z^m}\) とすれば,
\[\d{s} = \d{z_n} \d{z^n}.\]\(N\) 次元空間内の \(4\) 次元部分空間を考える. \(4\) 次元のパラメータ \(x^μ\) を用いて, \(4\) 次元部分空間の各点は \(\bm{y}(x) = y^n(x) \bm{e}_n\). これを各 \(x^μ\), \(x_μ\) で偏微分したものをそれぞれ \(\bm{e}_μ\), \(\bm{e}^μ\) とおく:
\[\begin{aligned} \bm{e}_μ(x) &≡ ∂_μ\bm{y}(x) = ∂_μy^n(x) \bm{e}_n, \\ \bm{e}^μ(x) &≡ ∂^μ\bm{y}(x) = ∂^μy_n(x) \bm{e}^n. \end{aligned}\]このとき, \(N\) 次元空間に沿った微小ベクトル \(\d{\bm{x}} = \d{x^n} \bm{e}_n = \d{x^μ} \bm{e}_μ = ∂_μy^n \d{x^μ} \bm{e}_n\) より \(\d{x^n} = ∂_μy^n \d{x^μ}\). 同様に, \(\d{x_n} = ∂^μy_n \d{x_μ}\). また, 微小ベクトルの長さ \(\d{s}\) は,
\[\d{s} ≡ h_{nm} \d{z^n} \d{z^m} = h_{nm} ∂_μy^n ∂_νy^m \d{x^μ} \d{x^ν}.\]ここで \(g_{μν}(x) ≡ \bm{e}_μ(x) ⋅ \bm{e}_ν(x)\) とおけば,
\[g_{μν}(x) = h_{nm} ∂_μy^n(x) ∂_νy^m(x) = ∂_μy^n(x) ∂_νy_n(x)\] \[\d{s} = g_{μν} \d{x^μ} \d{x^ν}.\]同様に \(g^{μν}(x) ≡ \bm{e}^μ(x) ⋅ \bm{e}^ν(x)\) とおけば,
\[\begin{gathered} g^{μν}(x) = h^{nm} ∂^μy_n(x) ∂^νy_m(x) = ∂^μy^n(x) ∂^νy_n(x), \\ \d{s} = g^{μν} \d{x_μ} \d{x_ν}. \end{gathered}\]\(4\) 次元部分空間に沿った任意のベクトル \(\bm{A} = A^μ \bm{e}_μ = A_μ \bm{e}^μ\) についても同様に
\[A^n = ∂_μy^n A^μ, \quad A_n = ∂^μy_n A_μ.\]\(4\) 次元部分空間上の点 \(x\) で接するベクトル \(\bm{A} = A^n \bm{e}_n = A^μ \bm{e}_μ(x)\) について, \(x \mapsto x+\d{x}\) の平行移動を考える. \(x+\d{x}\) 上において, \(\bm{A}\) を \(4\) 次元部分空間に平行なベクトル \(\bm{A}_{\mathsf{tan}}\) と垂直なベクトル \(\bm{A}_{\mathsf{nor}}\) に分解する:
\[\bm{A} = \bm{A}_{\mathsf{tan}} + \bm{A}_{\mathsf{nor}}.\]\(\bm{A}_{\mathsf{tan}}\) について, 定義から \(\bm{e}_μ(x+\d{x})\) で展開することができる:
\[\begin{aligned} \bm{A}_{\mathsf{tan}} &= A^n_{\mathsf{tan}} \bm{e}_n = A^μ_{\mathsf{tan}} \bm{e}_μ(x+\d{x}) \\ &= A^μ(x+\d{x}) \bm{e}_μ(x+\d{x}) \\ &= A^μ(x+\d{x}) ∂_μy^n(x+\d{x}) \bm{e}_n. \end{aligned}\] \[∴ A^n_{\mathsf{tan}} = A^μ(x+\d{x}) ∂_μy^n(x+\d{x}).\]また, \(\bm{A}_{\mathsf{nor}}\) について, 定義から \(\bm{e}_μ(x+\d{x})\) と垂直である:
\[\bm{A}_{\mathsf{nor}} ⋅ \bm{e}_μ(x+\d{x}) = (A^n_{\mathsf{nor}} \bm{e}_n) ⋅ (∂_μy^m(x) \bm{e}_m) = 0.\] \[∴ A^n_{\mathsf{nor}} ∂_μy_n(x) = 0.\]したがって, \(\bm{A}\) と \(\bm{e}_μ(x+\d{x})\) の内積を計算すると,
\[\begin{aligned} \bm{A} ⋅ \bm{e}_μ(x+\d{x}) &= (A^n \bm{e}_n) ⋅ (∂_μy^m(x+\d{x}) \bm{e}_m) \\ &= A^n ∂_μy_n(x+\d{x}), \end{aligned}\]あるいは \(\bm{A}_{\mathsf{tan}}\) と \(\bm{A}_{\mathsf{nor}}\) に分解して,
\[\begin{aligned} \bm{A} ⋅ \bm{e}_μ(x+\d{x}) &= (\bm{A}_{\mathsf{tan}} + \bm{A}_{\mathsf{nor}}) ⋅ \bm{e}_μ(x+\d{x}) \\ &= A^ν(x+\d{x}) \bm{e}_ν(x+\d{x}) ⋅ \bm{e}_μ(x+\d{x}) \\ &= g_{μν}(x+\d{x}) A^ν(x+\d{x}) \\ &= A_ν(x+\d{x}). \end{aligned}\]したがって,
\[\begin{aligned} A_ν(x+\d{x}) &= A^n ∂_μy_n(x+\d{x}). \end{aligned}\]または 1 次で展開して,
\[\begin{aligned} A_ν(x+\d{x}) &= A^n ∂_νy_n(x+\d{x}) \\ &= ∂_μy^n(x) A^μ(x) [∂_νy_n(x) + ∂_σ∂_νy_n(x) \d{x^σ}] \\ &= A^μ(x) ∂_μy^n(x) ∂_νy_n(x) + A^μ ∂_σ∂_νy_n(x) ∂_μy^n(x) \d{x^σ} \\ &= A^μ(x) g_{μν}(x) + A^μ ∂_σ∂_νy_n(x) ∂_μy^n(x) \d{x^σ} \\ &= A_ν(x) + A^μ ∂_σ∂_νy_n(x) ∂_μy^n(x) \d{x^σ}. \\ \end{aligned}\]ここで \(\d{A_ν}(x) ≡ A_ν(x+\d{x}) - A_ν(x)\) とすれば,
\[\d{A_ν}(x) = A^μ ∂_μy^n(x) ∂_σ∂_νy_n(x) \d{x^σ}.\]同様に,
\[\d{A^ν}(x) = A^μ ∂_μy^n(x) ∂_σ∂^νy_n(x) \d{x^σ} = A^μ g^{νλ} [∂_μy^n(x) ∂_σ∂_λy_n(x)] \d{x^σ}.\]Christoffel 記号
\(g_{μν} = ∂_μy^n ∂_νy_n\) より,
\[\begin{aligned} \pdv{g_{μν}}{x^σ} &= ∂_σ∂_μy^n ∂_νy_n + ∂_μy^n ∂_σ∂_νy_n \\ &= ∂_σ∂_μy_n ∂_νy^n + ∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n. \end{aligned}\]添字を適当に入れ替えることで, \(∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n\) について解くことができる:
\[\begin{aligned} &\ \frac12 \pqty{\pdv{g_{μν}}{x^σ} + \pdv{g_{μσ}}{x^ν} - \pdv{g_{νσ}}{x^μ}} \\ =&\ \frac12 \bqty{ \pqty{∂_σ∂_μy_n ∂_νy^n + ∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n} + \pqty{∂_ν∂_μy_n ∂_σy^n + ∂_ν∂_σy_n ∂_μy^n} - \pqty{∂_μ∂_νy_n ∂_σy^n + ∂_μ∂_σy_n ∂_νy^n} } \\ =&\ \frac12 \pqty{∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n + ∂_ν∂_σy_n ∂_μy^n} \\ =&\ ∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n \\ \end{aligned}\]であるから, これを \(Γ_{μνσ}\) とおき, :
\[Γ_{μνσ} ≡ \frac12 \pqty{\pdv{g_{μν}}{x^σ} + \pdv{g_{μσ}}{x^ν} - \pdv{g_{νσ}}{x^μ}} = ∂_σ∂_νy_n ∂_μy^n.\]\(Γ_{μνσ}\)